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| 地方議会の議員力の向上：今議員に求められている行財政改革の見識や能力 近年、地方議会や地方議会議員については、市町村長等の執行機関の付属機関化、執行機関の監視力の低下、議決権限行使力の衰退等が厳しく批判され、地方議会や地方議会議員の役割や機能が問われています。 筆者は、本学の自治体職員や議会議員等社会人院生に対し、研究調査の方法や課題解決手法等について、講義や演習を通じてアドバイスしてきました。 例年兼任講師を委嘱されている明治大学専門職大学院ガバナンス研究科では、9月初旬の集中講義で、自治体職員や地方議会議員、学部卒業生等の社会人の大学院生にアドバイスしてきました。 この夏季集中講義の受講生の一人、栃木県小山市市議会議員山口忠保氏のリサーチペーパ（修士論文）「協働体による地域ガバナンスの形成に関する研究―栃木県小山市における実践活動を通じて―」は優秀論文として評価されています。また同議員が大学院の課題レポート「小山市の財政状況―平成20年度決算の財政分析―」は、公会計制度改革を踏まえた市財政の公会計状分析は力作であると高く評価できます。 現在、筆者は、山口議員のレポート等を踏まえ、学術専門論文誌等に共同論文として発表すべく準備を進めると同時に、『小山市財政白書』作成準備に協力する予定です。この白書の作成では、市財政に関心のある市民や自治体職員、議員等の関係者にとっても参考となると同時に、研修資料として活用できるように分かりやすく工夫する予定です。 さらに今年度末を目標に、筆者が開発した市財政の将来動向を予測するシミュレーション分析システムを用いて、同市の分析も行う予定で準備中です。 この白書やミュレーション分析の報告書が完成すれば、「自治体財政白書」の先駆的な嚆矢として、「全国自治体議員作成の手本となる」と位置づけられる内容であると高く評価されることでしょう。 ちなみに、筆者は3年前に、第一法規主催による地方議会議員を対象にした研修セミナーで、自治体財政の分析などに関して話をする機会がありました。筆者の話が終わると、大変興味深い話を聴いたといって挨拶に来られた議員さんの名刺を拝見したら、宮城県議会議員で、経営学博士の学位を授与された方でした。国会議員の中には、博士の学位を取得された方は何人かいるようですが、地方議会においては珍しいのではないでしょうか。 2007年8月、この宮城県議会議員の所属する党派の地方議員の夏季研修会に招かれて講演しました。その時に、懇親会の席上、県議会や市議会議員の方々に、このような体験をした、地方議会の方で博士の学位を取得された方がいるので皆さんも、是非、大学院等で学ぶ機会を薦めますと、議会関係者にお話ししたことがありました。すると、あの方は特別ですという、大方の方の反応でした。 現在、県会議員に限らず市議会議員もおいてもも求められているのは、専門家としての活動が期待されていることは時代の要請である、と筆者は考えていますが、地方議会議員にはそのような期待がなされていないのでしょうか。 確かに個人の能力には限界があります。したがって、大学の学部や大学院の演習やゼミなどの方法、またワークショップ等によるグループ討議、市民グループ等との協働作業、また政党の政策審議会等との連携を図るなど、さまざまな方法を採りながら「地域住民を巻き込んだ形」で、一緒に政策立案等の政策検討や提案を行うことを、筆者は薦めています。 「三人寄れば文殊の知恵」の言葉があります。衆知の力を発揮して、自治体の経営改革を踏まえ、地域振興や地域活性化を推進する原動力として、是非、実行することを願うものです。その際には、筆者の著書等を参考文献として参照、活用されることを強く薦める次第です。 （→前ページに戻る） |
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