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講師プロフィール |
| 東北公益文科大学大学院 博士後期課程 開設 （平成19年度） |
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| 市民力の活用 自治体の行財政運営に対して新たな視点からの住民参画の方法としては、①知力、②資力、③労力の三つの側面からなる「市（町村）民力」のうち、いずれか得意な能力を発揮して参画することが重要である。 この「市（町村）民力」とは、筆者が定義したもので、①知力、②資力、③労力の三つの力より構成されると定義できる。すなわち、①知力は「知恵」「ノウハウ」、②資力は「資金力」「資産」、③労力は「労働力」「共同作業」である。 ①知力とは、「知恵」「ノウハウ」のことで、「創意工夫」と「ノウハウ」を提供することにより、住民の参画意識の高揚を高め、親近感、愛着感、満足感を助長させると同時に、地域の連帯や一体感が推進される。 ②資力とは、「資金力」「資産」のことで、「市民の資本参加」により、事業進捗に対する関心度を高めると同時に、住民側においても行政需要の要求に対する責任意識を高めることにつながる。すなわち、住民の身勝手なむやみやたらな理不尽な要求は減少することになるといえる。 ③労力とは、「労働力」「共同作業」のことで、「労力の提供」「ボランティア活動」などが促進され、相互扶助の精神が醸成され、地域の連帯や一体感が推進される。 従来、公共公益事業を推進する際の「資金調達」は、「一般財源」「国庫補助金」「地方債」「その他」の財源により賄われてきたが、新たな公共公益事業の推進の視点は、「市民力の利活用」が大きなポイントとなる。 この「市民力の利活用」の方法としては、①知力、②資力、③労力の観点より活用すべきである。具体的には、①地方債の引き受け、②寄付金の提供、③労力の提供、④地域通貨（エコマネー等）等の活用、⑤事業推進に係わるノウハウ・アイデアの提供などが考えられよう。 とりわけ、地域住民が「地方債の引き受け」をするかどうかが、事業の必要性、優先度などを吟味する判定基準の一つの鍵となる。すなわち、住民の賛意がなければ、その事業の必要性は薄いと判断できる。住民の賛同は、「行政評価」の一つの判断として重視すべきである。 市民の熱意と行動が自治体の財政危機や財政破綻を救う!! “市民の熱意と行動”が、自治体の財政危機や財政破綻を回避できる手段である。筆者が、かつて、番組制作に協力するとともに、スタジオに招かれて解説した、ＮＨＫ広島局から『ふるさと発スペシャル まちが“倒産”しないために―検証・自治体財政問題―（73分）』（2003年10月25日）と題した特別番組の放送の中で紹介された広島県大竹市の市民グループは、自発的に「行財政システム改善推進委員会」を結成して、市の財政分析を行うと同時に、当時、百億円を投じて工事が行われていた分譲住宅開発計画の進行を中止するように市当局に提案したこと、またその提案を受けた市長や議会では、最終的に、この市民グループの提案を受け入れて事業中止に至ったことが紹介されている。 このように、市民グループが自発的な委員会や制作委員会等を結成し財政分析等の活動を行ってきたことに対して、仄聞するところによれば、社会人を主体とした某大学大学院の特別講義における意見交換においては、大学院の在籍受講者からは「市民の物好きだ」と否定的な意見、見解がだされたようであるが、筆者は、学生や市民などが、自らのまちの財政分析等を実施することより、まちの将来について議論、検討することについては高く評価している。 筆者は、前職の新潟産業大学において、「地方財政論」の講義に一般市民が聴講参加して所定の講義時間を受講した際に、「科目履修者」として、数人に修了書を授与したことがある。 また、酒田市が主催した「市民大学講座」（平成19年度）では、「地方財政入門」の講義を行う中で、酒田市の財政の現状や財政分析を解説、詳解した。 本学の大学院の「自治体実務経営講座」公開講座（平成19年度）の講義においては、本学に研修教育派遣されてきた当時の山形県職員、鶴岡市、酒田市等の社会人大学院生のほか、酒田市や鶴岡市の市議会議員、銀行員や企業人、一般社会人の受講生に対しては、講義出席と課題レポートの提出者で希望者には、科目履修として所定の2単位を認定した。 一般市民が自分の住むまちの財政状況に関心を持ち、財政分析や財政診断をまとめ「財政白書」等として作成して公表することについては、極めて意義深く有益であると筆者は考えている。 現在、本学学部の出井ゼミのゼミ学生や公益自由研究のゼミ生など学生の出身地の自治体の財政分析や財政白書の作成を指導している。 全国的に、このように、学生や市民が自らの住む地域自治体の行財政の仕組みや行財政問題に対する関心が高める機運が芽生えているが、今後、市民や学生の分析力の向上に期待するものである。 |
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| 【市民力活用の方法】 出井信夫『基礎からわかる自治体の財政分析（改訂版）』（学陽書房）    |
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